読書メモ-薫

個人的な読書の覚え書きです。

模倣の殺意/中町信 (創元推理文庫)

模倣の殺意 (創元推理文庫)

模倣の殺意 (創元推理文庫)

読書を始めようとした切欠の1冊。書店に立ち寄ってふと目に付いたのがこの本だった。
”これはすごい!””著者が自信を持って仕掛ける超絶のトリック”と煽ってくる帯に目が止まり、何となくそのまま購入して帰る。なにがそんなにすごいのだろう。そんな思いで普段読み慣れない小説を読み始めた。

自殺と判断された男の死の真相を突き止めるべく、2人の人間がそれぞれの視点で自殺事件の真相に迫ってゆくのだが、それぞれの視点からみた”自殺した男”の人物像がどんどんぼやけて行き、混乱した。

「え?」読了直後の感想はその一言だった。夢オチだった時に似た脱力感を味わった。読中、何やら引っかかる所が数箇所あったが、それは私の読解力の無さ故だと思っていた。この手法は叙述トリックと言うらしい。

ミステリ小説において、文章上の仕掛けによって読者のミスリードを誘う手法。具体的には、登場人物の性別や国籍、事件の発生した時間や場所などを示す記述を意図的に伏せることで、読者の先入観を利用し、誤った解釈を与えることで、読後の衝撃をもたらすテクニックのこと。
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何やら引っかかる所は見事に文章上の仕掛けだった。小説だからこそできるトリック。
見事に騙された。悔しい。